2005.02.28

1) 野口体操

野口体操は東京藝術大学名誉教授だった野口三千三(1914〜98)によって創始されました。人間のからだを独特の身体観と方法論で捉える野口体操は、力を抜くというベクトルで動きを探っていきます。力強い動きでさえ、柔らかなうごきが基本だと捉えます。柔らかいからだとは、伝わり・巡り・通りのよいからだです。別の言い方をすれば『柔らかさとは、変化の可能性の豊かさ』(野口語録)です。今回のワークショップでは、その時その場に即応できるからだ、つまりニュートラルな状態を、自分の内側に蓄える技としての体操を探ってみましょう。精神的なことも・身体的なことも、強引に「力」で解決しようとするのではなく、魅力的な自己表現によって周りを取り込んでいける「まるごとの身体」の発見を目指してみたいと思っています。

講師/羽鳥操(はとり みさを)
1949年、東京生まれ。野口体操の会主宰・野口三千三授業記録の会代表。国立音楽大学ピアノ科卒。1975年から野口三千三の直弟子として研鑽を積みながら、78年から98年まで野口の助手をつとめる。現在、野口没後、残された研究と仕事を受け継ぎ、講演・ワークショップ・執筆活動等々を行っている。著書「野口体操・感覚こそ力」他 ビデオ記録「シリーズ・野口三千三授業記録」「自然直伝」




2) アウェアネス・イン・アクション
〜アレクサンダー・テクニークへの導入〜

アレキサンダー・テクニークは、オーストリア生まれの舞台俳優フレデリック・マサイアス・アレキサンダー(Frederick Matthaias Alexander)によって開発されました。将来を嘱望された舞台俳優であったアレクサンダーは、演技中に声がかすれるという問題を抱え、その原因解明と解決のために自身の行動を観察し、習慣的な反応や不必要な緊張などが、からだの自然なはたらきや自由な動きを妨げ、故障を起こさせるということを発見し、それを防ぐ方法を編み出すことに成功しました。それにより、心身への意識を高め、表現の選択を広げるこのテクニックは、現在では欧米各地の演劇、音楽、ダンス学校などの授業課程に取り入れられています。
今回は、テクニックを学ぶ上で基礎となる、「自分自身の行動の観察」を、様々な即興的な動きを通して学び、自身の習慣を発見すると共に、行動に伴う「正確な身体感覚」と「動きに必要な意志」の認識を高めて、より自由な動きによる表現を体験することを目指したいと思っています。

講師/松本乃里子(まつもとえりこ)
アレキサンダーテクニーク指導者協会(STAT)公認講師。4年間の英国留学中、ダンス、ムーブメント、表現の研究とともに、アレクサンダー・テクニックを学ぶ。1999年にTeacher Training Course, Oxfordを卒業。2000年4月に帰国。以来、ダンス、演劇、音楽などのパフォーマーを中心に個人レッスンや、ワークショップを指導している。




3) 「発声と身体のレッスン」(鴻上尚史著)を使って

鴻上尚史の本を使って、「こえ」と「からだ」に関するワークショップを行います。講師は鴻上の演出助手を勤めている黒川竹春が行います。
1喜怒哀楽の感情への距離を自覚するためのレッスン。
2自分の声を楽器とみなして体と共鳴させ、声で遊ぶためのレッスン。
3体の内と外、双方向からの作用を意識するためのレッスン。ほか。

講師/黒川竹春(くろかわたけはる)
1996年より第三舞台ほか多数のカンパニーで演出助手をつとめる。演出家としてATTIC THEATER(アティックシアター)を率いて公演活動をおこないつつ、ワークショップを指導している。

 


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