リレイヤー

第6回公演1983.6.24〜7.3 早大大隈講堂裏特設テント

作・演出: 鴻上尚史

登場人物・出演

リック・
ウェイクマン:
岩谷真哉
レイン: 松永郁子
礼文島: 名越寿昭
えらい先生: 小須田康人
石川一郎: 安田雅弘
越後円三郎: 大高洋夫・
池田成志(Wキャスト)
陸前六郎: 伊藤正宏
エミリ: 長野里美
リツコ: 深野高代
アケミ: 栗原和雅
ヨソミ: 山下裕子
エコー: 筒井真理子
リカ: 宮尾香朱美

主催 早稲田大学演劇研究会

その時、彼は、全身の力をふりしぼって走り抜け、
次の「リレーする人」にバトンを渡した。
バトンは左手で受け取られ、素早く右手にもちかえられた。
それは、昔から変らない、リレーのルール。
嘆く意味などありはしない。
その時、僕は、リレイヤーを求めて街をさまよっていた。
「リレーする人」は街のどこにもいなくて、ただ、深夜のゲームセンターにいた小学生の狂気の目だけが僕を安心させてくれた。
それでも、彼はリレイヤーになれるのかという問いは、僕を久しぶりに絶望的な気分にさせてくれた。
その時、僕は、彼女に会った。
彼女が本物のリレイヤーであって、トリックスターなどでは決してないことを僕は無神論という神に祈りながら、 なかば信じようとしていた。
それは、彼女の目が、あのゲームセンターの小学生の目に限りなく近かったからかもしれない。
その陽気で空虚な目は、誰からバトンを受け取り誰にバトンを渡せばいいのか、心底途方にくれているように見えた。

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